概要・コンセプト被災者の多様なニーズに対応できる木造プレハブUBCを開発・提供
東日本大震災により、住宅以外に生活に必要な様々な「箱もの」は流されました。特に漁村では、「番屋」(一つの浜の漁師たちが共同で使う集会場)や「納屋」(個人が使う倉庫兼休憩所兼作業所)を整備するのが急務だったが、行政はそのわずか一部しか提供しませんでした。自分たちで整備しようと思っても、海のそばのほとんどの土地には厳しい規制がかかり、移動できる仮設物以外なものを建てることが認められませんでした。
仮設物を借りたり、買ったりするお金があったとしても、市販されていたのは暖がとりにくく、容易に錆びる、温もりの感じない鉄骨製のものだけ。「木でできた仮設物があればいいな」と漁師に相談を持ち掛けられたことがこのUniversal Building Cube (汎用建設用キューブ)を開発するきっかけとなりました。支援金を集め、被災者にUBCをベースとした仮設建物「1棟~6連棟」を提供することが仮説村プロジェクトの役目です。
発案者は数多くのボランティア・ツアーを企画・実施してきた(株)トラベル東北の山口スティーブ社長。UBCの生産はトラベル東北の親会社で、2007年に建設業を廃業した(株)山口コーポレーションから運休中の施設や道具の無償提供を受け、同社の社会貢献事業として行われています。
目的利用目的に応じて自由に拡張できる「木造仮設建造物」
Universal Building Cube (UBC)とは、簡単に言えば幅5畳か6畳サイズの頑丈な木製箱ものです。
UBCは自由に連結できるため5畳サイズをベースにすると10畳・15畳・20畳など、6畳サイズなら12畳・18畳・24畳など目的に応じて必要な空間が容易に確保できます。また、用途に合わせて断熱建材を用いたり省いたりすることができます。入口やサッシの位置や大きさは自由に選択できます。
最初のUBC構造物は2011年の9月に建てられましたが、様々な個人、団体、企業、財団などの支援金を活用して、5畳サイズでは40棟分、6畳サイズでは32棟分のUBC構造物を被災者には無償で提供してきました。用途はさまざまですが、「番屋」「納屋」「集会場」「共同作業所」が主です。サイズも6畳の個人用の「納屋」から30畳の「集会場」までさまざまです。